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2013/4/14 BELLRING少女ハート1周年記念ワンマンLive『ボクらのAnniversary』@渋谷WWW

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昨年11月のTOKYO BOOTLEG@代官山UNITに於ける衝撃も記憶に新しいBELLRING少女ハート(以下、通称「ベルハー」)結成一周年にして初ワンマンとなる会場にはメインフロア450名というキャパシティを誇る渋谷のライブハウスWWWが選ばれた。

オープニングアクトを努めるこの日限りのセッションバンド、BELLRING中年ハート(ベルハーの編曲担当、宇田隆志氏を中心としたインストJAZZバンド)の演奏が終わる頃には、広大なフロアもほぼ満員に埋まり、今か今かと息を呑むオーディエンスを傍らに「ぼちぼちやりまっせ」とでも言わんばかりに淡々と、実にマイペースなセットチェンジが行われてゆく。

背後にはまさしく「ベルリンの壁」とでも言いたげな巨大衝立が聳え、 そこに刻まれた文字は「ミナゴロシ」だの「FXXK YOU」だの物騒なものばかり。 はしゃぐでもなくだれるでもなく、ただライブの幕開けを待つ静寂を切り裂くように楽屋奥から聞こえてくる鬨の声から数十秒、白い衣装を纏ったメンバー5人が登場した途端に世界はゲルニカのように歪み、爛れ、渦巻きはじめた。

オープニングを飾るのは真っさらな新曲『Pleasure 秘密の言葉』だ。 琴かハープかと思われるように細く、固く、撓るリフからはじまるミディアムナンバー、ベルハーの既存曲で言えば『yOUらり』に近いだろうか。マイナーコード、ディミニッシュコードを多様した不穏なオケと「コーリング ユー 咲いて」と歌われるサビに早くも多不幸感が滲み出る。 チュニックと言うか布と言うかパピルスと言うか、 ひどく原始的な衣装と相まってのっけから時間と場所を忘れさせる酩酊力でフロアをドレインしてみせた。

続いてはインパクトあるコーラスから入る『僕らのWednesday』、 ベルハー結成当初から歌われているこちらの楽曲では前曲に比べメンバーの動きもしなやか。大きく膝を伸縮させステージを駆け回り、ライブは客席参加型の側面をチラ付かせはじめるが未だそこに笑顔は無い。 ベルハー結成当初、こんなにもサイケデリックな曲という印象は無かったのにライブを重ねる中で曲のあるべき形とメンバーの歩む方向が合致し、その価値を何倍にも膨らませた楽曲であるように思う。

ここで最初のMC。 各メンバーの自己紹介に都度挟まれるTO(トップオタ)達の引率によるコールもここぞとばかり、喉の毛細血管が千切れそうな気合いっぷりに思わずTIRAが水を気管に入ってむせてしまう場面も。 ようやく先程までの人外の者っぷりはどこへやら、ガールズパジャマパーティーとでも例えたくなる奔放な身内トークと笑顔で彼女たちがアイドルである穏やかな空気が醸し出されてホッとした。

しかし3曲目。続いても新曲『ライスとチューニング』。これがちょっと・・・凄い。 seapunkともタブラとも形容し辛い「ポチョ、ポチョ」というビートに乗せてなんとメンバーみずほがサビ以外のフルパートを一人でRAPする、歌詞の内容は聞き取れなかったが「記者会見で握手するのは総理大臣が・・・」とか「ゴハンを炊くのに水は何杯で・・・」とか、正直サッパリわからない。みずほ本人すら歌詞を追うのに手一杯で何を歌っているのかわからなくなっているんじゃないかと思えるほど眩めいてる。
そしてもう何よりサビが強烈にオトコマエ。RUN-DMCによる「WALK THIS WAY」のような構成と、横並びの5人が四肢をぶん回しながら繰り出すキレッキレのステージングに僕は口元を手で抑えて笑うしかできなかった。「やべー、やべーよ・・・・」 そう一人で呟いている僕は他の関係者の方から「キメェ。」と思われていたと思う。でも止められなかったんだ。
「なんだよこれ・・・まだアイドルシーンに、こんな途方もない劇薬があったのかよ!」

そこからこちら久々となる『夏のアッチェレランド』は『僕らのWednesday』同様ベルハー初期から存在するアッパーで爽やかで、史上唯一のブライトサイドと呼んでも過言ないポップナンバーだ。 最近の方向性を鑑みるにこの曲がセットリストはら姿を消していることは理解ができるが、それだけに時折こういったタイミングで歌ってくれるとひとしおの喜びにもなる。とにかくドラムが良い音で鳴っていた、改めてイイキョクだ。

再び数秒の暗転。 ここぞとばかりに間隙を縫って湧き上がる「もえちー!」コール。 対抗心を燃やしたみずほの「みずほ~!はないんですか~?」。 またみずほか!なんだなんだ?いつの間にこんな持ってる女になったんだ、みずほ!

更に新曲はアコースティックギターが爪弾かれ今度はバラードか、と思わせながら四つ打ちなリズムと中音の固まったジャズベっぽいベース、ハードなギターが加わりダンサブルな曲調に。 タイトル通り「Shout!!!」と叫ばれるサビやタオルを振り回すフリも含め初聴でも理解に苦しまずに済む、珍しく即効性のある楽曲だった。

ここで一旦メンバーがステージを降りMC BUCHIの呼び込みで本日のスペシャルゲストTOKYO No.1 SOUL SETからBikkeが登場。登場し、登場し、登場し・・・・・中年二人のグダグダトークを聞かてくれた(笑) BUCHIの巧みなRAPと覚束無いBikkeの見様見真似なRAPが笑いを誘う。も、それは伏線となり、再び壇上に姿を現した5人とBikkeの6人による『ライスとチューニング』が再披露される。早くもリピートしたくて仕方がなかったこの曲をシッカリ頭にインプットできた。これは嬉しい計らい!

衣装も着替えた後半戦、配置されたのはベルハー1リアルで等身大な歌詞が痛い『D.S.P~だいすピッ!~』。続いて披露されたのもBPMの近しい新曲、これがまた聴けば聴くほど奇妙な綻びが気になって究明せずにいられなくなる。 「え、MTRじゃないよね?」とツッコミたくなるほど打ち込み然としたアシッドなベースの上をメタル調、クラシカルな鍵盤が泳ぎ回る。テクニックや高級な機材を最低マナーとするメタルという音楽とは有り得ないとされてきた、およそ禁断とも言える不逞な同棲。なんて怖いもの知らずなんだろうか! アウトロに至っては突如として5/4拍子となりメンバーは側転や馬とびなどステージ上をガチャガチャと走り回るし、かと思えば「そこで?」というタイミングで突然曲が終わる。何を考えてるんだかサッパリわからないぞBELLRING少女ハート!

再びの暗転のうちにメンバーが立ち位置を移動する。 メンバーのシルエットを手がかりに次なる楽曲に胸躍らせるオタから 「このフォーメーションは~っ?」 などお決まりの慣用句が叫ばれることもまた然りだ。
この日はその「お約束」も期待以上に転がり転がって
「あのフォーメーションはっっっ・・・!?」
「このフォーメーションは~っ?」
「このフォーメーションは!」
「あのフォーメーションはっ!」
など会場のあちらこちらからセリフじみた間の良いアドリブの応酬に「何をゆーとんねん」とツッコミたくなるしようのない笑いを巻き起こしていた。
流石にこれをして『共にライブを作り上げてる』というには安直だが、客席のガヤが会場全体、誰一人不愉快にすることなく笑い合える信頼感の中に身を置いていられることに心擽られる良い一幕であったように思う。

結局は友華一人がセンターに体育座りし、アコギに乗せて『ダーリン』をソロ歌唱するという過去どのフォーメーションでも無かった展開を見せるのだが、これも嬉しい誤算だろう。 メンバー最年少にして随一おしゃまな友華が誰よりも早くソロをもぎ取り、納得の歌唱力を披露する。ワンコーラスを終えたところでオケが鳴り今度は全員で『ダーリン』、 続いて『yOUらり』とベルハーの一年間を支えてきた「Negative EP」からの楽曲が並ぶ。

そして更に新曲『World World World』。 ブリキの人形がネジを落としながら踊るようなぎこちなさは突貫工事で用意されたワンマンのシナリオを理解しきっていないようにも見えたが、当の本人の意思を介さぬ場所で物事が決まり進められてゆく、それもアイドルの宿命であることを痛感しつつその悲哀に天野可淡的な芸術を感じずにはいられなかった。

いよいよ本編ラスト。「最後の曲です」の触れ込みにもふさわしくカノンを思わせるコード進行、光の見えるシンフォニックなマーチはどこか素っ頓狂な愛嬌があり、個人的にはFFに使われてそう、と感じた新曲『Tech Tech Walk』が披露された。 間奏ではなんと「歩く、歩く」という詞の通りメンバー一列となって客席を行進するという新たな演出もあり、ライトアップされた場内は1曲目の緊迫からは考えられないほど解き放たれ、多幸感に満ち満ちていた。
その許された開放に暗雲を翳らせるかのようやはり折り折りに姿を現す不穏なコード進行が耳を掠める。やはりこの曲は単純な結婚行進曲というよりは息を引き取った人間が天に召されてゆく、その階段を歌ったものではないか。そんな僕の小さな違和感をそこのけ「このあとはアンコールです!」と臆面もなく言い放ち退出するメンバーの無邪気さは、楽曲やサイケデリックさばかりが魅力でなく、そこに乗る少女の一生懸命と無垢さ、引いてはそのアンバランスさで大人たちのハートをシッカリ掴んで離れられなくしていた。笑顔で退場。なのに、どこか、儚い。 そんな一抹の気味悪さを残して。

この違和感はなんだろう。凄く楽しかった、凄く良いものを見ているのに、まるで見世物小屋で曲芸を踊らされる希少な動物を見ているような・・・囚人、奴隷とされた少女達が強いられるパフォーマンスにワクワクしている自分の咎、束の間の休憩時間のガールズトークに見る少女達の素肌・・・良からぬことばかりが頭を巡りそれでもこの後のアンコールに期待しかできない自責の念を引き裂くようにバリバリバリという音が迸る。

なんとメンバーはハンマーで舞台、壁を壊し、その後ろから登場、というパフォーマンスを見せるのだ!「おほほおおほおおっ!」という奇怪な悲鳴を上げずにいられない。自らの手で自らの鎖を断ち切りやがった!エマンシペーション!なんてことをするんだBELLRING少女ハート!その発想はなかったと舌を巻く暇を与えずに会場中を極彩色のマーブルに攪拌しまくるのは初の全国流通となった3rd EPから『サーカス&恋愛相談』の大洪水のようなイントロ!天が地に、表が裏になるように目まぐるしく展開する楽曲に騎馬戦を模したステージもフロアもここへきてSHOWの仮面を剥がれた。戦争だ!場内全ての分子に炎を放ち城を落とす開放の狼煙。
そしてラストは絶命的悲鳴!満を持して、ベルハー初期から今の今まで、最強最大のキラーチューンの地位を不動のものにしてきた『the Edge of Goodbye』が何本もの稲妻となり降り注ぐ。客席はPVさながら赤や黄や青のサイリウムが宙を舞いまくり、コールは怒号となり、定番ともなった間奏開けのウォールオブデスで見られた暴動のような押し合いへし合いはベルリンの壁の崩壊を祝して東から西に雪崩れ込んでゆこうとする人々のようにも見えたのだ。なんという「群衆の力」を目の当たりにしたのだろうか。

シアトリカルな天井桟敷でベルハーを「見せた」本編、 叫びたい暴れたいガッツきたいというオタの基本欲求もそこそこにただこの圧倒的な歪みに身を窶したくてたまらない、軽度の中毒症状ともとれるファンのリテラシーの高さは今夜のショーを「見」ることに徹底し、BELLRING少女ハートに魂を吸い奪われるが如く彼女らのステージを啓蒙した。
かと思えば一転してアンコール、数にして2曲に限定されたアンコールでフロアは獰猛な野獣と化し、岸和田だんじり祭りにでも例えたくなるような肉弾戦を嬉々とした表情で楽しんだ。不自由がゆえの自由が齎すあの興奮をこそカタルシスと呼ぶべきだろう。2013年の日本の渋谷で、まさかあんな革命が見られるだなんて・・・。
ここまで見て一公演。途中退出は絶対に許されない内容だったと思う。

15秒間で理解されなければ商品としての見限りを付けられてしまいがちで、兎角ライブは盛り上がってナンボというドーピング塗れな現代の音楽市場の中、どの曲のどのリフもコーラスも逃してはならないプログレッシブな楽曲ひとつひとつを積み重ねて120分のワンマンライブを完走することでやっとわかるアイドルグループの輪郭。
それは6月に発売されるBELLRING少女ハート初のフルアルバム収録曲が全14曲、アイドルのアルバムとしては異例のボリュームを持ってはじめてベルハーという存在のなんたるかを理解させるという意味込み、「アガる」だけでは満足できないハードコアな音楽ファンへ向けたサイケデリックな楽曲勢への期待、ディレクター田中紘治氏によるとこれ以降の新曲は更に凄まじい、ともすれば現存するファンを置いてけぼりにしかねない危険な楽曲が既にいくつも控えているという。

読んで字の如くモンスターアルバムになるに違いない。 絶対にiTunesではなく作品として所持すべき名前のない音楽集の誕生が、少し、怖い。

また作り込めば込むほどアイドルから遠ざかり、素のままでいるときが最もアイドルらしいメンバーたち。どっちが天使でどっちが悪魔かわからない。だからベルハーは面白い。

どんな本にも載っていない、アンノウンな冥府魔道をベルハーと共に往きたいのだ。




2013/4/14 BELLRING少女ハート1周年記念ワンマンLive『ボクらのAnniversary』セットリスト

01.Pleasure 秘密の言葉
02.ボクらのWednesday
03.ライスとチューニング
04.夏のアッチェレランド
05.Shout!!!
06.ライスとチューニング feat. BIKKE(TOKYO No.1 SOUL SET)
07.D.S.P ~だいすぴッ~
08.アイスクリーム
09.ダーリン宇田隆志エレアコver
10.ダーリン
11.yOUらり
12.World World World
13.Tech Tech Walk

《アンコール》
14.サーカス&恋愛相談
15.the Edge of Goodbye

《アンコール(2回目)》
16.the Edge of Goodbye


後記。長々しく文才に欠けるレポートですみません。自分でもわかっています。伝えたいこと山ほどある、上手に伝えられなくてもどかしい悔しい気持ちもいっぱいです(泣)
本当に衝撃的なライブでした。皆さんも是非、長丁場のベルハーを見てみてください。

(2013/4/16 report by O-ant)


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